チームの力を解放する
ブレインストーミングは、チームや組織において相乗効果をもたらし、創造力を引き出す最も効果的なテクニックである。有能なマネジャーの主な責任のひとつは、定期的にブレインストーミング・セッションを開き、部下と業務改善について話し合うことである。あなたの部下の潜在的な創造力をそのままにしておくことは許されない。彼らの発想を成功に役立てるための環境を用意しなければならない。
ブレインストーミングのプロセス
人間の創造力を刺激するブレインストーミングを実施するために6つのガイドラインがある。
1.
グループの理想的な人数は4人から7人。4人より少なければ、アイデアの数と質が減少する傾向がある。7人より多ければ、セッションが大きくなり過ぎて、何人かは最高の考えを発揮する機会を得られない。
私が大人数でブレインストーミングを実施する場合は、4人から7人にグループ分けし、セッションの最後に全体のアイデアを共有することにしている。
2.
理想的な時間は15分から45分。 30分が最適である。最初にブレインストーミングの時間を伝え、ぴったりその時間に止めさせるのが重要である。制限時間に向けてアイデアを生み出させる事で質と量が大幅に増加する。
3.
ブレインストーミングの目標は、許された時間内に出来るだけ多くのアイデアを引き出す事である。そこで生み出されるアイデアの質と量には直接的関係がある。セッション終了直前に組織の将来を転換する突破口になるアイデアが出されることがしばしばある。
4.
ブレインストーミングは完全に前向きであるべき。アイデアに対する判断も評価もない。どのアイデアも良いものである。あなたのゴールは、アイデアの数を引き出す事であり、たとえ馬鹿げたアイデアでさえ褒め称え、勇気づけることである。ふたつの非常識なアイデアが組み合わさって画期的なアイデアになるというのは珍しい事ではない。楽しむこと。たわいもないことを言う。ユーモアを持つ。全員が楽しむように心がける。セッション中に笑いが多いほど、特にそれがくだらないアイデアによって笑いが起こるほど、アイデアの質もより良く、数も多くなる。出来るだけ多くのアイデアを出すことを目指そう。それが良いかどうかは考える必要はない。
5.
セッションに前に、リーダーを決めること。リーダーはグループの全員が発言する機会を得る事を確実にする特別な責任がある。全員参加のために、リーダーはテーブルを回り、次の話題に進む前にひとりひとりに発言を求めると良い。これは素晴らしく効果的なプロセスである。モーターボートのエンジンをかける様なものである。リーダーがテーブルを1度まわれば、誰もが積極的に関わるようになるだろう。それぞれが、あらゆる面からアイデアを提案し、身振り手振りをまじえ、時間と格闘する。リーダーの任務は、整理されたプロセスを確かにして、各メンバーにアイデアを発表するように促し、お互いに話し合う機会を作ることである。
6.
それぞれのブレインストーミングには書記が必要。書記の任務は、自分自身も参加しながら、皆のアイデアを書き留めることである。非常に活発なセッションでは、良いアイデアが多すぎるためにひとりの書記では足りないかもしれない。私がIBMや他の企業でブレインストーミングを実施していた時は、どのグループが最も多くアイデアを出したが競争させたものだ。“競争”により、それぞれが判断や評価を考える事なく、最多のアイデアを生み出すことに集中するようになる。
ノミナル・グループ法
ノミナル・グループ法とは、特定の質問や問題に対する創造的な答えを導くために、ブレインストーミング（マインドストーミングでも）で使われる簡単だが有効なテクニックである。ノミナル・グループ法の最も簡単な例は、文章完成法である。例えば、次の3つの文章に、出来るだけ多くの違った文を追加して完成させてみる。
1.
もし＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ならば、私たちは今後90日間で売り上げを倍に出来る。
2.
もし＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ならば、輸送や各処理で経費を20パーセントまで削減できる。
3.
もし＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿ならば、私たちはこの業界でトップになれる。
テーブルを回って、これらの文章や違う文章を完成させよう。論理的で実行可能な解決法はすでにあり、発見されるのを待っていると仮定してみよう。あなたの任務は、文章完成法の形式で刺激を与え、メンバーから最高のアイデアを引き出す事である。この方法を定期的に実施することで、メンバーの独創的な思考力は質量ともに良くなるだろう。これはあなたの足元にあって、まだ自覚していない解決を見つける素晴らしい方法である。
アクション
1.
解決もしくは達成されたら大きな違いをもたらす問題や目標をひとつ選ぶ。
2.
ブレインストーミングのチームを集合し、プロセスを説明する。そしてその問題解決や目標達成のためのアイデアを出来るだけ多く引き出す。驚くべき結果がでるだろう。
KEIKOMIZUNO敬子水野
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